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ショートショート 『その先には』
わたしのなまえはピピ。おとうとのなまえはポポ。ピピにはおとうさんがいないんだ。あっ、せいかくにはほんとうのおとうさんが・・です。そうそう。ピピはこぐまのおんなのこです。ちょうどことしでななさいになりました。おかあさんは、とってもやさしかったんだ。そう。やさしかった・・・
「いたいよぉ〜。おかあさん。もうぶつのはやめて・・おりこうになるから。」「もう!おまえはいうことをきかないんだから!!」「おとうさんのいうとおりにしないと・・」ピピは、きょうもからだじゅうアザだらけです。ぶたれているときは、いたくないんだとじぶんにいいきかせます。でも、ほんとうはすごくいたいんです。
ピピのだいすきなおともだちは、リボンちゃんです。リボンちゃんは、なんでもピピのいうことをきいてくれるんです。リボンちゃんって?うん。ピピのたからものだよ。まだほんとうのおとうさんがいたころ、ピピのたんじょうびにおかあさんがプレゼントしてくれたんです。とってもうれしかった。だからたいせつにしてるんです。つらいときやかなしいときには、かならずリボンちゃんとおはなしをします。もちろんうれしいときもね。ピピは、がっこうへいくまえとがっこうからかえったあと、いつもリボンちゃんとおはなしをします。リボンちゃんとおはなしをしていると、ふしぎとゆうきがわいてきます。つらいことも、かなしいことも、みんなみんなゆうきにかわっていきます。おかあさんも、ほんとうのおとうさんがいたころはリボンちゃんとよくおはなしをしてました。そのころのおかあさんは、ほんとうにやさしかったです。でも、あたらしいおとうさんがきてからは、おかあさんはリボンちゃんとおはなしをしなくなりました。そして、ピピのだいすきなリボンちゃんをすてようとするんです。おかあさんもあんなにかわいがっていたリボンちゃんなのに・・どうしてなんだろう。このごろピピは、おとなはずるいとおもうようになりました。ピピからみるとおとなはまるでたかいビルのようです。いくらのぼってものぼってもうえへつきません。こどもはちっちゃいんです。もっともっとしたへおりてきてピピをみてほしいです。そうすれば、いままでみえなかったピピのせかい、こどものせかいがもっとたくさんみえてくるのにとおもいます。すんだひとみ、キラキラしたかがやき、じゅんしんなこころ・・いままでわすれていたせかいがきっと。そして、ピピのこころも・・・
〜おわり
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